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第11章 絡まるストッキング5　　　　　　和哉と健太

　95　不思議な力

「そうよ、ちょうど今、お母さんと私と康徳との三人で、康徳のバイトしているファミレスにご飯食べに行こうって話してたとこなのよ…
　だから、アンタ、美冴も行こうよ」
　と、誘ってきたのだ。

「あっ、うん、じゃあ、わたしも行くわ…」
　そう軽く返事をしたのだが…

「あっ…」

　ふと、気付いたのだ…

「え、なによ」

「あ、いや、あの…
　やっちゃんのバイト先って、あそこに新しく出来た、あのファミレスよねぇ…」
　と、わたしはやっちゃんの顔を見て訊いたのだ。

「あっ、うん…」
　彼は頷いた。

　あっ…

　この前の…

　和哉がいたファミレスだ…

　ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

　この前やっちゃんがバイトするって訊いた時に、なぜ、あの懐かしいファミレスの名前に気付かなかったんだろうか…

　あ、あの時は『黒い女』だったからか…
　
　周りの事なんてどうでもいいと思っていたからか…

　わたしはその事実に、急に胸が高鳴り、騒めいてきたのであった。

　和哉…

　なんと、わたしと和哉は、やはり、この甥っ子の康徳という存在を介して、既に、繫がっていたのである。

　やはり、これは偶然ではなく、わたし達は何かの見えない不思議な力により、引き寄せられているという事なのであろうか…

　この前の和哉との突然の再会は、やはり必然的な流れであったのだ…

「どうしたの美冴、もう行くわよ…」

「あ、う、うん…」

　ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

　胸の高鳴りが、激しく騒めいてくる。

　やはり、和哉との流れも、必然的であり、避けられないって事なんだ…

　わたしと和哉は、あの五年前から既に、目には見えない張り巡らされている蜘蛛の巣に絡まれて、藻掻いているだけなのかもしれない…


　つまりは…

　逃げられないって事なんだ…

　やはり再会は、必然であったのだ…