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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第5章 第二話 【めざめ】 旅立ち
まるで憑かれたような熱っぽい瞳(め)で見つめられることに、たまらない息苦しさを感じてしまうのだ。何故、亮平があんな怖い眼で自分を見るのか、幸には判らない。その行為は、亮平が自分の中の激情を持て余しかねた挙げ句のものだったのだけれど、まだ稚(おさな)い幸には到底その心の内を理解することはできなかった。
幸は小さな箱に入った刺繍セットを取りだし、針と糸を使って器用に刺繍してゆく。亮平がその手許を見て、感嘆の声を上げた。
幸は小さな箱に入った刺繍セットを取りだし、針と糸を使って器用に刺繍してゆく。亮平がその手許を見て、感嘆の声を上げた。