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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第7章 第二話 【めざめ】 別離
静かだけれども、確かな決意のこもった応えに、亮平の眼に絶望が宿った。
「どうしてなんだ? どうして俺では駄目なんだ、幸」
亮平の哀しげな呟きが鋭い刃となって、幸の心を刺し貫く。亮平は亮平なりに幸を愛してくれている。その心は恐らく真のものだろう。だが、自分の本当の気持ちに気づいてしまった今、幸は亮平と共にゆくことはできない。あの海辺の家にあるのは、幸の過去の幻影にすぎない。たとえ亮平と共にあの場所に帰っても、幸はもう昔の幸ではないのだから。
「どうしてなんだ? どうして俺では駄目なんだ、幸」
亮平の哀しげな呟きが鋭い刃となって、幸の心を刺し貫く。亮平は亮平なりに幸を愛してくれている。その心は恐らく真のものだろう。だが、自分の本当の気持ちに気づいてしまった今、幸は亮平と共にゆくことはできない。あの海辺の家にあるのは、幸の過去の幻影にすぎない。たとえ亮平と共にあの場所に帰っても、幸はもう昔の幸ではないのだから。