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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第8章 第三話【波の音】 予感
浩三は幸太郎と浩を区別したりせず、隔てない愛情を注いでくれており、幸は穏やかな日々の中で生きていた。あれから四年、幸も二十一となり、浩三は講師から助教授に昇任している。二人は浩三の勤務先の大学からも近い小さな邸に親子四人で暮らしていた。邸には女中や下男、料理人などを含めて数人の使用人がいる。
浩の安らかな寝息を確かめ、幸は静かに立ち上がった。寝室の片隅には箪笥がある。その上に飾ってある小さな陶製の小物入れを持ってきて、揺り籠の側の椅子に腰を下ろした。
浩の安らかな寝息を確かめ、幸は静かに立ち上がった。寝室の片隅には箪笥がある。その上に飾ってある小さな陶製の小物入れを持ってきて、揺り籠の側の椅子に腰を下ろした。