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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第8章 第三話【波の音】 予感 
 どこまでも涯(はて)なく続く蒼い空、さらさらと粒子の細かな白砂を洗う白い波、満々と水を湛えた蒼い海。はるか彼方に見える島影にさえ見憶えがある。
 ここは、かつて亮平と幸が二人で暮らした想い出の場所であった。亮平に手込めも同然に抱かれ、幸は亮平への絶望と不信感を募らせ、自ら彼の許を去った。だが、あの貝殻を拾ったときのように、甘く楽しい想い出も確かにここには存在したのだ。今、打ち寄せてくる波のように、幸の中に亮平と過ごした日々が次々に蘇っていた。
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