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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦
浩三と結婚しても、ただ守られるべき存在だけにはなりたくない、互いに協力し合うバートナーでありたいと強く願った幸だったけれど、実際のところ、浩三と過ごした四年の結婚生活は邸の奥深くで二人の子どもたちを育てるだけの生活にすぎなかった。浩三の翻訳の仕事の収入で助教授の稼ぎではできないような贅沢をし、広い邸に住み、幾人もの使用人を使い、幸のすることといえば育児だけ、料理も洗濯も家事は殆ど自らがすることなかった。