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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦 
「幸が今の仕事を続けたいと思うのなら、都市に帰ってからも続けたら良い。僕の勤務する大学の付属小学校なら、幾らでも空きはある。教員として働くことはできると思う」
 そうまで言ってくれる浩三の優しさにともすれば縋りつきそうになるのを懸命に押さえ、幸は言った。
「もう来ないで下さい」
「幸!」
 浩三が呼ぶ。誰よりも愛しい男の声であった。たとえ亮平といくたび身体を重ねようと、この男への想いが変わることはなかった。
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