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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦
白い身体に所々黒い斑があるので、「くろ」と呼んでいる。我ながら何とも安易な名前の付け方ではあったが、一人暮らしの幸にとっては、かけがえのない「家族」であった。
「犬を飼ってるのかい?」
唐突に背後から声をかけられ、幸は愕いた。聞き憶えのある声は、浩三に違いなかった。
ゆるりと振り向くと、案の定、浩三が砂浜に立っていた。着物はもう着なくなったのだろうか、今日もまた洋服姿である。こうして見ると、浩三は案外に着物よりも洋装が似合うのかもしれないと、幸はぼんやりと思った。
「犬を飼ってるのかい?」
唐突に背後から声をかけられ、幸は愕いた。聞き憶えのある声は、浩三に違いなかった。
ゆるりと振り向くと、案の定、浩三が砂浜に立っていた。着物はもう着なくなったのだろうか、今日もまた洋服姿である。こうして見ると、浩三は案外に着物よりも洋装が似合うのかもしれないと、幸はぼんやりと思った。