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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦
「この間、教室で子どもたちを教えている君を窓の外から見たんだ。あのときの幸を見ていると、いっそのこと、幸の望むようにこのままそっとしておいた方が良いのかなと、つい思ってしまいそうなほど、生き生きとしていた。あんな輝いた表情をしている幸を僕は見たことがなかった。何だか子どもたちに妬けそうになってしまったよ。昔から幸は誰の力も借りずに自分の脚できちんと歩いてゆきたいと言っていた。僕が帰って欲しいと言うのは、君がここで築いたものを壊すことになるのかな」