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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦 
 わずか六歳の子が母恋しさの一心ではるばる汽車を乗り継いで北の海辺の村まで幸に逢いにこようとしたのだ。その心根を想う時、幸はあまりのいじらしさに涙が止まらなかった。
「とにかく、幸太郎の側にいてやってくれ」
 浩三の言葉に、幸は涙ながらに頷いた。
 その日の夕刻、幸太郎は大好きだった母の訪れを待っていたように、息を引き取った。
幸太郎の小さな手を握りしめながら、幸は最愛の我が子の最期を見守った。
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