この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第16章 番外編第一話「潮騒の詩」~海神の誓い~
「海の神の名を出されては、わしもこれ以上反対はできん。勝手にしろ。澪、わしにはお前の他に子はおらん。いずれはお前に婿を迎えてこの濱崎の家を継がせるのが夢だった。じゃが、これだけわしの面目を潰された手前、亮平を婿にすることは、わしの誇りにかけてできない。お前は、この家を出て亮平と所帯を持つなり何なり、好きにするが良い」
熊五郎の言葉は当然のことであった。村長としても網元としても、熊五郎には意地がある。亮平はもう一度、畳につくほど頭を深く垂れた。
熊五郎の言葉は当然のことであった。村長としても網元としても、熊五郎には意地がある。亮平はもう一度、畳につくほど頭を深く垂れた。