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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第3章 第一話【空の記憶】~邂逅~
だが、いくら思い出そうとしても、努力は空しく、記憶の扉は固く閉ざされたままで開こうともしない。それでも、何か片鱗でも良いからと思い出そうとすると、頭が痛み、幸は思わず額を片手で押さえた。
「澪、急に思い出そうとしなくても良い。ゆっくりと―、ゆっくりで良いんだよ。たとえ、お前が何も昔のことを思い出さなくたって構やしない。お前は俺の女房の澪だってことに、変わりはないんだから」
男は優しく子どもをあやすように言い聞かせると、微笑みかけた。
「澪、急に思い出そうとしなくても良い。ゆっくりと―、ゆっくりで良いんだよ。たとえ、お前が何も昔のことを思い出さなくたって構やしない。お前は俺の女房の澪だってことに、変わりはないんだから」
男は優しく子どもをあやすように言い聞かせると、微笑みかけた。