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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第3章 第一話【空の記憶】~邂逅~ 
 亮平は幸を【澪】と呼び、どこまでも亡くなった女房として扱った。幸にしてみても、亮平に発見される以前の記憶がすっぽりと抜け落ちているのだから、亮平に〝お前は俺の妻だ〟と囁かれれば、素直にそうなのだとその言葉を信じるしかなかった。
 だが、〝澪〟と呼びかけられる度に、心のどこかがチリチリと痛むような、妙な違和感を憶える。それは何か―ほんの小さなものなのだけれど―、喉につっかえているような、もどかしさにも似ていた。
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