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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第19章 番外編第二話【薔薇ものがたり】 薔薇の乙女
徳三郎は語気も荒く言い捨てると、まだ頬を押さえたままの伊右衛門に向き直る。
「良いか、金輪際、わしの娘に手を出すことは許さんぞ。何の賞を取ったのか知れないが、お前のような駆け出しなんぞ二度と画壇に顔を出せぬようにしてやることなど赤子の手をひねるよりも容易いことだ。だが、わしも画商の端くれとして、多少なりとも才能を持つ若い者の芽を摘むような真似はしたくない。お前がもし今後、弥生に二度と近づかぬと約束できるならば、今回のことは不問にしよう」
「良いか、金輪際、わしの娘に手を出すことは許さんぞ。何の賞を取ったのか知れないが、お前のような駆け出しなんぞ二度と画壇に顔を出せぬようにしてやることなど赤子の手をひねるよりも容易いことだ。だが、わしも画商の端くれとして、多少なりとも才能を持つ若い者の芽を摘むような真似はしたくない。お前がもし今後、弥生に二度と近づかぬと約束できるならば、今回のことは不問にしよう」