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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第20章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花
光円は振り向いた。案の定、とくが襖を開けた入り際に手をついていた。とくは賄い方を務めている。正確には、賄いだけではなく、この小さな尼寺の雑用をすべてこなしていると言った方が良い。村外れにあるこの寺には、とくの他には使用人は誰もいない。とくはもうそろそろ五十路も半ばを迎えようかという老齢である。だが、他に身寄りもないとかで、こうして尼寺に住み込んで寺の雑用などをしながら暮らしていた。