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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第20章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花 
 その夜、とくは控えめに光円の隣の部屋で寝もうかと言ってよこした。むろん、あの絵師だという男を警戒しての配慮だと判っていたが、光円は首を振った。あの男の眼には、そんな下卑た下心は隠されていない。光円はいつものようにと応え、とくはあっさりと下がった。とくは毎夜、寺の玄関脇の小部屋で眠る。そこから奥の光円の寝室まではかなり離れている。むしろ、男の使う客間が光円の部屋とは近かった。
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