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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第20章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花
光円は言った。
「私は仏道に入って、もう十年目になります。その間、自分なりに懸命に真摯に御仏にお仕えし、修行に打ち込んできたと思うて参りました。されど、それは、どうやら大きな思い上がりであったようです。あなたさまのお話をお聞きして、私は人間としても求道者としてもまだまだ至らぬ未熟な者だと、自分の浅学さに恥ずかしくなりました。ただ寺の本堂に座しているだけでは得られぬものがあると知りました」
それは、心からの正直な想いであった。
「私は仏道に入って、もう十年目になります。その間、自分なりに懸命に真摯に御仏にお仕えし、修行に打ち込んできたと思うて参りました。されど、それは、どうやら大きな思い上がりであったようです。あなたさまのお話をお聞きして、私は人間としても求道者としてもまだまだ至らぬ未熟な者だと、自分の浅学さに恥ずかしくなりました。ただ寺の本堂に座しているだけでは得られぬものがあると知りました」
それは、心からの正直な想いであった。