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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第21章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 睡蓮の池
いつしか織部の手も光円から離れている。
「織部さまもあまりに根ばかりお詰めになられましては、かえってお身体にも毒というもの。さあさ、お二人ともお茶になさいませ」
とくはいそいそと盆に乗った湯呑みを二人の前に運んだ。
「これは、かたじけない」
織部は殊更明るい声音で言い、湯呑みを手に取りいかにも美味そうに冷えた麦湯を飲んだ。だが、光円は織部の態度に何か腑に落ちないものを感じていた。