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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第22章 番外編第四話【轍~わだち~】
「それで―?」
物想いに耽っていた晶は、祖母の声にハッと我に返った。顔を上げると、祖母の切れ長の瞳が真っすぐ向けられている。この瞳の前では何も隠せそうにもない、と、晶は思う。第一、今日、自分は祖母にすべてを聞いて貰いたくて、汽車を乗り継いで、はるばるこの北の海辺まで来たのだ。
「結婚してくれって、言われてるの」
晶が小さな声で言うと、祖母は眼を瞠った。
「おやおや、もうそんな話になってるの」