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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第4章 第一話【空の記憶】~真実~
ふいに白い小さな影が二人の前をよぎる。打ち寄せる波と戯れるかのように低く旋回し、また、空高く飛んでいった。その白い影を視線で追い、幸は陽の光に眩しげに眼を凝らした。わずかに折り重なった白い雲間から、ベールのように差している陽光には早春の気配が潜んでいるようだ。
寒さ厳しいこの北の漁村にも確実に春は近づいていた。それもそのはずで、もうすぐ弥生月を迎える。心なしか、潮の香りを濃く孕む風にも温かさが日毎に加わっているように思える。
寒さ厳しいこの北の漁村にも確実に春は近づいていた。それもそのはずで、もうすぐ弥生月を迎える。心なしか、潮の香りを濃く孕む風にも温かさが日毎に加わっているように思える。