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第5章 まさかの妊娠？

会社には始業1時間前には到着するようにしている。
殆ど出社している人は居ない。


今週は、食関係のイベントの為に台湾出張に行く社長に渡すものの準備をして渡せば、大きい仕事はない。
今回は藤堂先生は同行しない代わりに副社長と行くことになっている。
また、関空から大阪さんが行って現地で合流するらしい。

昨年出した本の翻訳版がちょうど現地でも出版されるので、
そのプロモーションも兼ねて出展することになっていた。

現地の通訳とコーディネーターは、
私の友達を頼んでいたので連絡もした。


本来なら、副社長ではなく私が同行する筈だったけど、
別件の仕事が入っているからと言って、
出張から逃れた。

どうぞ、台湾で3人、楽しんでくださいと思っていた。
その間に、藤堂先生とこれまでの成果と今後の動きを打ち合わせすることにしていた。


現地で必要な資料を2日かけてファイルに纏めて共有ドライブに落とす。
エアチケットとホテルの情報を社長達にメールで送りつつ、
念の為、印刷しておく。


社長は海外出張で浮かれている。

「パソコンに資料は落としておきますか？」と訊くと、
「やっておいて？」と言うので、
ノートパソコンを受け取ってダウンロードしておく。



木曜日になると、
「空港まで見送りしてくれ」というので、
羽田に同行して、さっさと保安検査をさせてしまった。


会社に戻ろうとして、下腹部に痛みが走った。
近くの椅子に座り込んで様子をみてみる。

暫くすると少し痛みが和らいだので、
会社に連絡して直帰することにした。


そういえば、週明けには来ると思っていた生理はまだきてなかった。
生理痛の前触れかな？と思いながら帰宅した。

帰宅して、バスタブにお湯を張ってのんびり浸かった。
空港で襲われたようなお腹の痛みは、その後はなかった。

ボディクリームを丁寧に身体に塗り込んでから、
下着をつけてパジャマに着替えた。

遅い時間になってしまったけど、
まだ航平さんからは連絡はなかった。


カモミールティーを入れて、
キャンドルだけ灯して、
静かに『タイスの瞑想曲』を聴きながら瞳を閉じてみる。
今日も忙しいのね？と思って、いつものように、
「航平さん、
おやすみなさい」とショートメールを出してから、
キャンドルを消してベッドに潜り込んだ。