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欲しいのは愛だけ
第5章 まさかの妊娠?
航平さんの携帯が鳴る。
こんな早い時間に?と思ったけど、
「出てください?」と言って、
私はキッチンに移動した。

「ありがとう」と言うと電話に出て、
英語で話し始めたようだったので、
メモ用紙とペンを渡してから、
ケトルを火にかけてからコーヒー豆を挽いた。

マグカップにコーヒーを注いで、
自分用には牛乳を入れてカフェオレにしてダイニングテーブルに運ぶ。


電話が終わった航平さんに、
「どうぞ」とコーヒーを渡すと、
嬉しそうに「ありがとう」と言ってすぐに飲み始めた。

猫舌の私には、とても飲めない熱さだろうに、
全然平気なので感心してしまう。


「もうお仕事の時間なんですね?」

「うん。
あのさ、心配だからここに居ても良い?」

「えっ?」

「心配だから。
仕事しながらになるけど、
一緒に居たい」
と言うと、テーブル越しに手を握り締める。


「頼むから、病院行こう?
初期って不安定なんだろう?」

「えっと…初期も何も、
多分妊娠してないと…」

「1週間遅れてて、
吐き気とかお腹が痛いとか…。
なんかあったら心配だから、
お願いします」と頭を下げられてしまう。


「航平さん、本当に心配し過ぎですよ?」と言うと、
物凄く真剣な顔をする。


「心配性だって笑っても良いよ?
俺の親友がさ、3ヶ月前に奥さんを亡くしたんだよ。
乳癌だったそうで。
今でも憔悴しきってる。
兆候とかを見逃してたんじゃないかと自分を責めたり、
もっと一緒に居たかったと。
それ見てさ、俺はそこまで優子を愛してたかって思ったら、
そうではなかったと思った。
そして、もう一度結婚するなら、
それほど愛せる女性と一緒になりたいと思って、
そんな時に出会ったのがメイだった。
思い込みだって思うなら笑ってくれて良いし、
そこまで言われると、引くって思うかもしれないけど。
俺、それ位の気持ちだから、
病院、行こう?」とまで言われたので、
素直に頷くしかなかった。


取り敢えずシャワーを浴びて、
ゆったりしたシャツ型のワンピースに着替えた。
内診もあるだろうからと、
ストッキングは履かずにコットンのソックスを履いた。



8時半に家を出て、
手を繋いで航平さんのマンションまで歩いて車に乗って病院に行った。


待合室でもずっと手を握っていてくれて、
ほどなく診察室に呼ばれた。
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