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欲しいのは愛だけ
第8章 逆襲〜或いは隠れていた本音
週末に横浜の私の実家へと航平さんの車で向かっていた。
母は頼まれて途中下車して、元町のパン屋さんに寄った後だった。

後ろから、
「航平さん」という声を掛けられた。

2人でゆっくり振り返ると、
優子先輩が少し小太りの男性、そして小学校低学年の女の子と立っていた。

「あ…れ?パパ?」と女の子も声を掛ける。

先輩は私を見て、
「ふーん。そういうこと?」と言った。

航平さんは私を庇うように間に入る。

「再婚…したのね?
少し、話さない?」

航平さんは、
「話すことは何もない。
最後に話そうと言った時に、
君もそう言っただろう?」と落ち着いた声で言う。

「森田、久し振りだな?
あの…俺、あっちに行ってようか?」と、
少し気まずそうな顔の男性が言って、
女の子の手を引くように繋ぐ。

「やだ、やめてよ?
手に触らないで?」と、女の子はヒステリックな声を出すので、
男性は慌てた。

「メイは大事な時なんだよ?
悪いけど話すことはないから」と言って2人歩き出すと、

「何よぉ!」と大きい声を出しながら突然私の背中を押した。

私の絡んでいた腕が航平さんから外れてゆっくり前に転倒してしまう。
庇おうした航平さんの手が届かなくて、
数段ある階段から滑り落ちる。

私はお腹を庇おうとして、
バッグと手で前を覆ったので、
額を打ってしまった。


航平さんはすぐに私に駆け寄って、
「メイ、大丈夫か?」と声を掛けながら、
119に電話をする。

優子先輩達は呆然とした顔で立ち尽くしている。
呆然と、というより、能面のような無表情だったらしく、
女の子は怖がって泣き始めた。

救急隊が到着して状況を説明していると、
周りが通報したらしく、警察官もやって来る。


「あの人が突然、妊婦さんを階段から突き落としました」と見知らぬ人が説明する声を聴きながら、
張り詰めていた糸が切れるように、
私は意識を失ってしまった。
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