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欲しいのは愛だけ
第8章 逆襲〜或いは隠れていた本音
額を打ってから一週間後に、念の為に再検査に行くことになっていたので、航平さんの車で病院に行った時のことだった。

診察が終わって駐車場に向かって歩いていた時に、
航平さんの電話が鳴った。

お仕事の電話かなと思って、
先に車に乗って待っていた。

物凄く真剣に、難しい話をしているみたいで、
そういう顔もカッコいいなと呑気に思っていた。


電話を終えて、車に乗り込んだ航平さんは、
少し困惑したような表情を浮かべていた。


「どうしたの?
急ぎのお仕事?」

「いや。
仕事じゃなくて…」

「そうなの」


いつまで経っても車のエンジンを掛けないので、
「どうしたの?
大丈夫?」と、そっと言ってみると、
意を決したような顔で、
思いがけないことを言った。


「田中が…、あ、優子の今の旦那が電話してきて、
会いたいって言っててさ」

「えっ?」

「なんか、切迫詰まった声だった」

「会って差し上げたら?」

「これからでも明日でもって言ってた」

「後に延ばすこともないから、
これからにしたら?
私、実家で待ってましょうか?」

「いや、隠し事もしたくないし、
一緒に話を聞きたいけど…。
メイ、大丈夫かな?」

「うん。大丈夫よ?」


それで、優子先輩に渡したというマンションに行くことになった。




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