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ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第5章 【ターニングポイント】







某出版社編集部の会議室。
ビシッと光沢のあるスーツでキマってる鍵山さんと2人で呼び出された。
普段着で良いって言われたけど絶対顔合わせじゃん。
もっと正装の方が良かったかな。




マーメイドスカートにフード付きパーカーで来てしまった。
連載の打ち合わせかと思ってた。
ビルに入った途端、知らない人たちから声掛けられて完全にビビってる私。
出版社に勤めてるのに「ファンです」って平気で名乗るんだ。
たくさんの作家さんに言ってそうだけど。




前まではこっちに来ても声すら掛からなかった。
顔出ししてなかったから。
でも式典パーティーに出た事で一気に知名度を上げてしまったのだ。
しかも柊ミコト先生と一緒に居たもんだから余計にあれは誰だ?ってなったんだろうね。





通された会議室に待つこと10分。
ノックして入って来たのはドラマプロデューサーとチーフプロデューサー。
男女コンビで鍵山さんを通して紹介される。
監督と助監督みたいなものなのかな。
名刺もしっかり受け取った。




「単刀直入に言います、タカラアキ先生が現在連載されている“錆と鎖”をドラマ化させて頂けませんか?内容がハードなだけに深夜枠にはなりますが、決して今の世界観を壊す事なく忠実に再現したいと思っています、キャストも含め脚本も全力を尽くしますので本日は先生に許可を頂きたく思いこの場を設けさせて頂きました、お忙しいのにお呼び立てしまして申し訳ありません、本来ならこちらからお伺いしなければならないのですが」




めちゃくちゃ腰が低い。
どうしよう、余計緊張してきた。
満場一致で決まった…なんて嬉し過ぎる。
実写化したい、させたい、他に取られる前に取りに行け…だったらしい。




「実はデビューされてからずっと一目置いていました、何かとんでもない新人が出てきたぞって噂してまして…最高の作品を最高のチームで先生と一緒に創り上げたいとチーフと会社でプレゼンしまくってたんです」




隣で聴いている鍵山さんも
「言ってた通りだろ?」ってドヤ顔。
二つ返事でお願いする事にした。
右も左もわからない未知の世界だけど、違う景色が見れるという確信だけが私自身を突き動かしていた。











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