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ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第5章 【ターニングポイント】
「一緒にシャワー浴びる?」
「え、珈琲飲むだけでしょ?」
そんな膨れっ面見せられても私はそのつもりだったけど。
会うたびに抱かれるのは私の中の倫理に反するので。
「じゃ、このまま抱くよ?」
近付いてくる唇を掌で止める。
納得いかない顔も本当は慣れてる。
少しだけ当たる股間も収めて欲しい。
「鍵山さんは私をどうしたいの?都合良く抱ける女にするつもり?一緒にまた踏ん張ってくれないんですか?ケツ叩いて血眼になって漫画家タカラアキを覚醒させてくださいよ」
「お前……それ……」
ハァーと深い溜め息つかれて項垂れている。
いつになったら抱けるの?ってそんなのわかんないよ。
「よし、マンガ大賞獲ったら遠慮なく抱くぞ?」
「大きく出ましたね」
「死ぬ気で獲りに行けよ」
「言われなくても」
「頼む、キスだけはさせてくれ」
向かい合って顔を包まれ重なった。
優しい大人のキス。
凄く抑えてくれてるのがわかって申し訳ないけど、これくらいの距離感がベストだと思う。
ソファーに座らされても尚続く長いキスに腰が砕けそう。
煽っちゃいけない。
受け入れるだけのキス。
ごめんなさい。
何とか距離を保とうとする想いを汲んでくださった。
「マジでお前、惚れさせるなよ」
「善処します」
「プハッ!最高だな」
その後、ちゃんと珈琲を飲んでスマートに帰っていった。
シャワーを浴びて髪を乾かし寝ようかと思ったけど。
興奮して眠れない。
だって夢だったドラマ化だよ?
こんな形で実現していくんだ。
気が付いたら液タブに向かって走り描きしてる。
シーン…とした静かな空間でひたすら描き続けるという時間の流れも必要だった。
集中して没頭するっていうの?
ハッと気付いたら真夜中で倒れるように寝ちゃう。
でも今夜はそうもいかない。
神経がずっと興奮状態だ。
鍵山さんに抱かれた方が良かったか?
こんな時に呼び出せるヤツ……まさかね、もう寝てるだろうと思いながら携帯に手が伸びる。
「来て……章介」
無言のまま切れた電話。
待てなくてショーツの中に手を入れてしまう。
はぁん……早く……ひとりじゃイケない。