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第7章 【譲れないもの】

「動くぞ？悠…」




下から突き上げられて天を仰ぐ。
倒れそうになる私を支えて引き寄せ、対面座位で繋がった。




「吐き出せ、腹の中全部俺にぶつけろ！いくらでもイかせてやるよ」




「あっ……あっ……んんっ……ふっ」




涙なのか涎なのかもうわかんなくなるくらい私は章介を求めた。
泣きながらイった。
ギュッと抱きついて「離さないで」と叫んでた。




私はずっと、負の感情の置き場所に困っていた。
急に襲いかかってくる負の連鎖に、スーパーヒーローみたく一番に駆け付けてくれる章介に甘えてたのね。
断ち切るにも断ち切れない。
必要だから。




「ほら、出せよ、まだ腹の奥に抱えてんだろ？その前にイクか？」




「あぁっ……！イク…！イっちゃう！イっちゃう！」




泣いてイって震えながらまた泣く。
ずっと待っててくれる章介に人生預けちゃうのは卑怯なのかな。
偏った愛でしか返せないのにまた縛り付けるのは誠実じゃない。




「悠……お前何と闘ってんだよ……俺にも背負わせろ」




急に優しい口調で頬を拭ってくる。
揺れた目で「章介が欲しい」って言った瞬間唇奪われた。
絡ませ方も優しい。
抑えきれない感情が沸点を通り越して壊れてく。




「好きなんだろ？俺の事、もう認めちゃえよ」




「うるさい………早くイかせて」




いつも通りの自分に戻ろうとしても顔でバレてる。
ピタッと動きが止まって絶頂する直前の寸止めを食らった。




「ダメ、認めるまでこのまま動かない」




「良いよ、自分で動くから」




腰を上げようとする私を力尽くで止めてくる。




「愛し合おう？俺ら……素直な悠、久しぶりに見たい」




真顔で言っちゃうんだ。
え………無理、素直になんてなれない。
そっちからお願いしてきたんじゃん。
電話で「抱きたい」って。




ヌルッと抜いた。
跨ぐのをやめる。
散々卑怯な手使って手繰り寄せてきたけど。
一旦引き下がる癖、直したくても直らないの。
わかってて言ってきてるのも目を見ればわかる。




「じゃ、もういい」




可愛げのない女でいい。
「帰って」とベットで背を向けた。
静かに服を着る音。
ギシッと近付いてくる気配。




「わかった、またな」と髪を撫でて行っちゃうの。