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ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第2章 【それぞれの葛藤】
「さっきのトイレでの悠、格好良かった……俺の噂、一蹴してくれて嬉しかったよ」
「聴いてたんですか!?いや……確かめもしないでとやかく言う人たちは嫌いなので」
聴いてたなんて恥ずかしい。
もう思い出したくもないのに。
「悠は俺を信じてくれてるんでしょ?」
「さぁ、どうですかね……でももう二度と出たくない気持ちで一杯ですけど」
「今日のドレスめちゃくちゃ似合ってる……やっぱりお前が一番綺麗だった」
「それはどうもです、帰りますね」
「おい、ホテルで部屋取ってんだけど」
昂ってるのは私も同じだけど、種類が違うみたい。
「あぁ、ごめんなさい、今めちゃくちゃ降りてきてるんですよ、良いの描けそうなんで失礼しますね、ちゃんとパーティー出席しましたよ?貸し、1つですからね?」
1階に着いたら降りて鍵山さんだけ残してタクシーに乗り込む。
「優秀な担当者さんなんでしょ?良いの描いて恩返しするね!おやすみなさーい!」
「あ、おい!昨日もおあずけだぞ!?」って声が聴こえたけど構わず出てもらった。
笑顔で手を振って、ちょっとムスッとした顔。
わかってる。
けどまだ私にはその覚悟が足りないの。
言われないようにするにはもっと実力で勝ち負けはっきりさせるべきなんだと思った。
後にコレが私の武勇伝となればウケるねって思いながら自分を奮い立たせる。
タクシーで家に帰ってすぐ液タブに向かった。
ベットの上に脱ぎ散らかしたドレス。
背中の大きく開いた薄い桜色のスリップ下着のままペンを走らせている。
読み切りとはまた違う、今描いてる作品のラストを飾る絵が舞い降りてきたのだ。
そのスピリチュアルに沿って描いていく。
自分でもまだ頭の中で形になっていなかったラストシーンだ。
数ページ集中して描ききった後は自然と章介に電話していた。
夜中の1時過ぎなのに素早く出てくれる。
「章介……お願い、30分で来て」
__ハハハ、バーカ、10分で行ってやるよ
鼓膜を落ち着かせるような声で電話を切り駆け付けてくれた。
本当に10分で来た章介に激しくキスをする。