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スワッピング入門+(続)+(3)妻が見知らぬ男に犯される時
第1章 僕の独り言1
店の喧噪が5秒ほど遅れて耳に届いてくる。

「イヤラシイ・・・・。」

最後のセリフはさすがにしつこく感じて、僕は大きな声を出した。

「いいじゃないか、雑誌くらい読んだって・・・。」

ジョッキを握ると残りのビールを一気に飲み干した。

僕の喉が上下に動いていく。

暫く見つめていた妻は、やがて力無く視線を落としていった。

「だけど・・・・・。」

消え入りそうな声なのに僕の胸には十分に染み込んできた。

(僕だって・・・・。)

十分、分かってるさ。

(でも・・・。)

たかだ本じゃないか。

僕の目がそう語るのを感じるのか、映見の長い睫毛がヒクヒクと揺れていた。

テーブルの下の雑誌には女優の写真と共にゴシック文字が躍っていた。

『特集!セックスレス夫婦の逃げ道』

『スワッピングパーティーの潜入ルポ!』

「この頃変よ、裕君・・・・。」

細い肩越しに声が聞こえた。

「だって・・・・。」

意を決したように映見は口を開いた。

「毎日残業で遅いし、休日は家でゴロゴロしてるだけで・・・・。」

「だから、こうして外食してるじゃないか・・・。」

「ええ・・・素敵な、焼き鳥屋さんで、ね。」

僕の反論はピシャリと跳ね返されてしまった。

「家から歩いて2分の近さで、それもジャージとサンダル履きの姿でもこれる、とぉってもオシャレなお店ですものね。」

堰を切ったように妻はしゃべり始めた。

「私の愛する旦那様は釣った魚にはもう興味が無いのか、妻と会話もせずにエロ本を読む方が楽しそうにしてるし・・・・・。」

勢いが良かった声も徐々にトーンダウンしていく。

「これでも、私はデートのつもりなのよ、お化粧だって一生懸命してきたのに・・・。」

力無く店の喧噪にとけ込んでいった。
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