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あなたが消えない
第17章 震える心
「振り返った先にはあなたがいた…引き返した理由は…あなたを好きになってしまったから…視線をそらせなかったのは…あなたが私を好きになったから…」

彼女はポツリ、ポツリと私に呟いた。

「薄緑の作業服、シルバーの軽自動車…仕事場はアパートの近く…201号室の真下に住む101号室の感じの悪い住人は、運命の相手だった…」

彼女は私に微笑みながら、続けて言った。

「俺とあなたは、永遠の愛で結ばれている… 」

彼女の目が、翔の目と重なり合った。

私は両手を口元で覆いながら、ドキドキしながら涙を流した。

「出逢った瞬間から、俺はあなたを愛していた…」

私はもう、またそう翔に言われた気がして、肩を震わして涙を何度も拭いた。

「あっ、ごめんごめん!泣かすつもりじゃなかったのー!ごめんなさい。ついつい力が入っちゃったのぉ!」

慌てて、頭をヨシヨシされた。

アハハ…思わず、フラッシュバック。

彼女の言う通り。

いつか私に逢いにまた、このアパートに現れると信じてる。

翔を…愛する翔を、信じてる。

この震える心は、いつまでもあなただけのものだよ。
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