この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
近くて遠い
第15章 芽生え
───────…
「真希様!本当にこれはすごいことなんですよ!」
「普通のことじゃない…」
興奮する愛花ちゃんに少し呆れ気味で答えると、愛花はクリクリとしたかわいい目を大きく見開いた。
「真希様分かってないわ!私半年ここで働いてますけどご主人様が『おはよう』だなんて言ったの今日が初めてです!」
「だからそれが異常なんだって…」
おはようって言っただけでこんなにビッグニュースになるなんて、今までどんだけ冷たく扱ってたんだか…
愛花ちゃんは憐れむ私には全く気付かず、ずっとあたふたとしていた。
「他の先輩なんか、さっきご主人様、ぶつかってしまってクビを覚悟したら、『すまん』って言われたって泣いてましたよっ!?」
「えっ…」
泣いてた…?
そんなにそれって大事件なの?
ていうか…ぶつかっただけでクビって……
愛花ちゃんは、騒ぎながらもベッドメイキングをすませて私の座っていたソファーに腰を下ろした。
「やっぱ、愛の力ってすごいですねぇ…」
「は……?」
目をうっとりさせている愛花の言葉に私は首を傾げた。
「いつもイライラしてるご主人様が、あんなになっちゃうんですもん…」
愛……?
まさか…
そんな…
「どうしたんです?固まっちゃって…」
愛花ちゃんは固まる私の顔を心配そうに覗きこんだ。
「いや…、愛って言われると…なんか私と有川様が想いあってるみたいに…なっちゃうから…」
何故か自分で言って苦しくなった。
私はどうしてこんなに不安なんだろうか…
「真希様……それ、本気でおっしゃってるんですか…?」
「…………」
何か足りない…
まだ、幸せを感じてはいけないような気がする…
それは、私と有川様を繋いでいるものが、
三千万というお金だという事実から来る不安なのだろうか…
「真希様!本当にこれはすごいことなんですよ!」
「普通のことじゃない…」
興奮する愛花ちゃんに少し呆れ気味で答えると、愛花はクリクリとしたかわいい目を大きく見開いた。
「真希様分かってないわ!私半年ここで働いてますけどご主人様が『おはよう』だなんて言ったの今日が初めてです!」
「だからそれが異常なんだって…」
おはようって言っただけでこんなにビッグニュースになるなんて、今までどんだけ冷たく扱ってたんだか…
愛花ちゃんは憐れむ私には全く気付かず、ずっとあたふたとしていた。
「他の先輩なんか、さっきご主人様、ぶつかってしまってクビを覚悟したら、『すまん』って言われたって泣いてましたよっ!?」
「えっ…」
泣いてた…?
そんなにそれって大事件なの?
ていうか…ぶつかっただけでクビって……
愛花ちゃんは、騒ぎながらもベッドメイキングをすませて私の座っていたソファーに腰を下ろした。
「やっぱ、愛の力ってすごいですねぇ…」
「は……?」
目をうっとりさせている愛花の言葉に私は首を傾げた。
「いつもイライラしてるご主人様が、あんなになっちゃうんですもん…」
愛……?
まさか…
そんな…
「どうしたんです?固まっちゃって…」
愛花ちゃんは固まる私の顔を心配そうに覗きこんだ。
「いや…、愛って言われると…なんか私と有川様が想いあってるみたいに…なっちゃうから…」
何故か自分で言って苦しくなった。
私はどうしてこんなに不安なんだろうか…
「真希様……それ、本気でおっしゃってるんですか…?」
「…………」
何か足りない…
まだ、幸せを感じてはいけないような気がする…
それは、私と有川様を繋いでいるものが、
三千万というお金だという事実から来る不安なのだろうか…