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近くて遠い
第21章 近くて遠い
目を閉じて、じっと数字を数える。
…8……9……10……
「もぉーいいかぁーい」
と目を瞑ったまま大きな声を出すと、
遠くから
まぁーだだよー
と返事が返って来る。
私はクスリと笑ってから、再び10数えて、同じように声を出す。
「もぉーいーよー」
やっとか…
目を開けると、青い空が目に入った。
かくれんぼなんて、いつぶりだろう。
そんなことを思いながら広い庭の中を注意深く見渡す。
南の奥のイングリッシュガーデン。
薔薇の咲き乱れるアーチを潜ると、まるで自分がどこかの国のお姫様になったかのような錯覚が起きる。
薔薇はどんなに寒くても咲く
つい見とれていると遠くから
ピチャっ──……と水の音が響く。
それに耳を済ませて、手入れの行き届いた庭を楽しみながら奥へと進んでいく。
随分広いなぁ…
有川家のものは何から何まで広くて大きい…
手入れが大変そう。
ふと、カサカサと音がすると、奥の植木から小さな頭が見えた。
「あれ~?いないなぁ……どこ行っちゃったんだろ~?」
私は笑いを堪えてながら、わざと、聞こえるように大きな声を出す。
するとその小さな頭も笑いを堪えているのかぷるぷる震えだした。
かわいい、
本当に…。
「隼人~~どこ~??」
ゆっくり近付いて茂みを分けて行く。
「あっ、ここかな?……違うなぁ…じゃあ、ここかな?」
そうやってじっくりと隼人に近付いていく。
カサッと音がするたび小さな彼は身体を震わせてそのスリルを楽しんでいる。
…8……9……10……
「もぉーいいかぁーい」
と目を瞑ったまま大きな声を出すと、
遠くから
まぁーだだよー
と返事が返って来る。
私はクスリと笑ってから、再び10数えて、同じように声を出す。
「もぉーいーよー」
やっとか…
目を開けると、青い空が目に入った。
かくれんぼなんて、いつぶりだろう。
そんなことを思いながら広い庭の中を注意深く見渡す。
南の奥のイングリッシュガーデン。
薔薇の咲き乱れるアーチを潜ると、まるで自分がどこかの国のお姫様になったかのような錯覚が起きる。
薔薇はどんなに寒くても咲く
つい見とれていると遠くから
ピチャっ──……と水の音が響く。
それに耳を済ませて、手入れの行き届いた庭を楽しみながら奥へと進んでいく。
随分広いなぁ…
有川家のものは何から何まで広くて大きい…
手入れが大変そう。
ふと、カサカサと音がすると、奥の植木から小さな頭が見えた。
「あれ~?いないなぁ……どこ行っちゃったんだろ~?」
私は笑いを堪えてながら、わざと、聞こえるように大きな声を出す。
するとその小さな頭も笑いを堪えているのかぷるぷる震えだした。
かわいい、
本当に…。
「隼人~~どこ~??」
ゆっくり近付いて茂みを分けて行く。
「あっ、ここかな?……違うなぁ…じゃあ、ここかな?」
そうやってじっくりと隼人に近付いていく。
カサッと音がするたび小さな彼は身体を震わせてそのスリルを楽しんでいる。