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近くて遠い
第21章 近くて遠い
こんな感情いけないと思った。


彼女は社交辞令でそう言っているのに過ぎないのは分かっているのに……



「それは嬉しいな。ありがとうございます。」


いけない──


あの日の少女への気持ちが強すぎて、自分はあらぬ方向に向かっている…



「じゃあまた来るんだね?!」


元気にそういう隼人の声を頼りに、要はその少年の頭に手をのせて力強く撫でる。



「そうだな、会いに来るよ!」



要が答えると隼人はニッコリと微笑んでまた庭へ走り出してしまった。

では──


そう言ってステッキを頼りに前に進む要の手を柔らかくて小さな手が包み込んだ。



「っ……?」


「……送ります。」


「真希さん…」




ドキッ──と高鳴る鼓動を要は心の中で気のせいだと言い続けて誤魔化した。



「ありがとうございます…」



今夜もまたあの道を歩こう。


必ずあの少女を見つけて見せる。



そう思いながら、真希に連れられ要はその庭をあとにした。




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