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近くて遠い
第24章 究極の選択
落ちそう…


地震で動いたのか、今にも落ちそうなその箱に私はゆっくり手を伸ばした



「触るな!!!!!!」



後数センチのところで光瑠さんが怒鳴りながら、私の手首をものすごい力で握った。



「あ、でも…落ちそ──」


「触るなと言ってるだろ!!!」



その時の光瑠さんの目が

とても鋭くて

私の苦手な怖さをまとっていた。



「……す、すみません。」


息がつまりそうになりながら、身体を震わせて謝ると、光瑠さんはフッと私の手首を離してとても苦しそうに顔を歪ませた。


どうして、そんな顔をするんだろう…


光瑠さんは落ちそうになったその箱を切なげに見つめて、棚の奥へと押し込んだ。


とてつもなく、光瑠さんが遠くに感じて、怖くて、どうしていいか分からないまま、無言の時間が流れた。



「会社に行く。」



「……はい。」



顔も向けぬまま去っていく光瑠さんを



私はただただ立ち尽くして見ていることしか出来なかった。

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