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近くて遠い
第27章 出発
────────…
大きな荷物を私は虚ろに見つめて立っていた。
「いってらっしゃいませ。」
古畑さんがそう言って頭を下げると、そこにいたメイドさんたちも一斉に頭を下げた。
「あぁ」
ついに光瑠さんがパリに発つ。
お母さんが死んでしまった事を、まだ受け入れられていない。
そんな状態で光瑠さんが不在の中、お葬式も全て済ませなくてはいけない。
不安だらけだった。
こんなに近くで働いていても中々会えないのにパリなんて行ってしまえば、一生光瑠さんに会えないんじゃないかという気さえして私はさらに不安になっていた。
それに、光瑠さんが昨日漏らした言葉が気になって仕方がない。
───────悠月っ…
ねぇ、光瑠さん。
あなたは一体誰の名前を呟いたの…?
お願い…
行かないで。
傍にいて。
今、私たち離れたらいけないと、思うの…
そう言えたら、どんなに楽だろう。
嫌な予感がしてならない。
そんな私の顔を見て、光瑠さんが切なげな顔を私に向けた。
「真希……」
良かった。
名前を呼んでくれた──
光瑠さんが広げた腕に私はゆっくりと近付いて、ギュッと抱き着いた。
「1週間。1週間したら、すぐに戻ってくる。」
心地よい声が頭から降って、私はしきりに頷いた。
大きな荷物を私は虚ろに見つめて立っていた。
「いってらっしゃいませ。」
古畑さんがそう言って頭を下げると、そこにいたメイドさんたちも一斉に頭を下げた。
「あぁ」
ついに光瑠さんがパリに発つ。
お母さんが死んでしまった事を、まだ受け入れられていない。
そんな状態で光瑠さんが不在の中、お葬式も全て済ませなくてはいけない。
不安だらけだった。
こんなに近くで働いていても中々会えないのにパリなんて行ってしまえば、一生光瑠さんに会えないんじゃないかという気さえして私はさらに不安になっていた。
それに、光瑠さんが昨日漏らした言葉が気になって仕方がない。
───────悠月っ…
ねぇ、光瑠さん。
あなたは一体誰の名前を呟いたの…?
お願い…
行かないで。
傍にいて。
今、私たち離れたらいけないと、思うの…
そう言えたら、どんなに楽だろう。
嫌な予感がしてならない。
そんな私の顔を見て、光瑠さんが切なげな顔を私に向けた。
「真希……」
良かった。
名前を呼んでくれた──
光瑠さんが広げた腕に私はゆっくりと近付いて、ギュッと抱き着いた。
「1週間。1週間したら、すぐに戻ってくる。」
心地よい声が頭から降って、私はしきりに頷いた。