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近くて遠い
第32章 祭り
か……


かっこよすぎる……



「かなめすごぉーーい!!」


私の隣でジャンプしながら隼人が叫ぶと、要さんは真剣だった眼を再びいたずらっぽい眼にして、ニーッと歯を見せて笑った。



「はい、これ。」



もらった景品を要さんが得意気に隼人に渡す。




「ありがとーーー!」



「どういたしまして。」



嬉しそうな隼人の頭を撫でながら、要さんが私を見た。



「す、すごいです!」


みんなの視線が要さんに集まっているのを感じながら、私は興奮交じりにそう言った。



ふふ、と眉を上げて要さんが笑う。


いつもと違う要さんに私の心臓はドキドキしっぱなしだった。



「物理の法則が分かれば簡単です。それに、弓道に比べたら、距離が短いですからね。」



その言葉に、以前弓を射る真似をして見せた要さんを思い出した。




「あ、なるほど…」




だから、何かの武道を見ているようなあの雰囲気を感じたんだ…



周りを見ると、要さんを指差してあの人あの人!と同い年くらいの女の子たちが騒いでいる。



「なんか、急に射的人気になってきましたね。」



周りに集まった人が自分目当てだとは気付かずに、要さんがそんなことを言った。



「いや、きっと要さんのこと──」


「ん?なんか言いました?」


急に顔を近付けていた要さんにドキンっと胸が激しく高鳴った。



「いっ、いえ、何でもないです。」



言い淀んだ私を不思議そうに見つめながら、要さんは隼人に引っ張られて別の屋台に向かっていた。






「今度はなんだ……?」



グルグルと水の中を回るスーパーボールの池を眺めながら、要さんが首を捻る。


「すくうのー!」



隼人は金魚すくいで使う薄い紙の張った輪っかとお椀を要さんに渡した。

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