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近くて遠い
第32章 祭り
その名前を聞いて、要は微かに身体を震わせた。




「………そうか。」




辛うじてそう答えると、だから一人足りない!と隼人が再び声を挙げる。


ふと、隣に真希がいないのに気が付いて、要は来た道を振り返った。





「真希さん…」



真希は少し後ろの方で固まったまま地面のある一点を眺めていた。


社長を

思い出しているのだろうか…



その考えが要の胸の中を複雑にかき乱す。



「す、すみません…」



真希は一瞬歪んだ顔をしたあと無理に作った笑顔を要に向けた。



「隼人…」


要はゆっくり頭上にいる隼人に話し掛けた。
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