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近くて遠い
第41章 けじめ
───────…


主人である自分の事をぐいぐいと押し退けて、一目散に真希に集まる使用人たちを光瑠は片眉を上げて見ていた。



「おかえりなさいませ…」


近寄ってきた古畑に、あぁと返事をして、メイドの中に埋もれる真希を遠くから眺める。



「なんだこれは……随分な人気だな…」



隼人を抱えながら呟いた光瑠に古畑がクスッと笑った。



「皆、真希様がお帰りになられると聞いて待ち構えておりました……」



古畑もそう言いながら、メイドの中で微笑む真希を見ていた。




「古畑、」



「はい?」



「……今まで、悪かったな。そして、ありがとう…」




光瑠の言葉に古畑は目を見開いて、視線を真希から光瑠に移した。



「お前がいてくれて助かった。」



「光瑠様……っ」





真希が去ったときの生気のない光瑠を思い出して、古畑は涙腺を緩ませた。


幼いときからずっと世話をして来た古畑は、光瑠のことを自分の子供か孫のように大切に思ってきた。

幾度となく苦しんでいる光瑠をそばで見てきて、自分の無力さに胸を痛めていた。


そんな光瑠が自分に感謝の言葉を述べ、今幸せそうに笑っている───



良かった……




そんな様子が古畑自身の幸せに繋がっていた。



「私はっ…いつでも坊っちゃんの味方ですっ…」



「っ……!だから坊っちゃんはやめろと──」



「ううぅ……んん…」



叫んだ光瑠の声に隼人が反応して寝言を言った。





「…っ……」





光瑠は古畑に言い返したいのを堪えて仕方なく黙ると、隼人を寝かせるため、その場から立ち去った。
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