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近くて遠い
第43章 上司と部下
────────…


言葉を続けた要さんに私は身体をビクつかせた。



「僕はやっぱり、


『有川 真希』より


『関根 真希』の方が


響きが美しいと思いますよ?」



「えっ…?きゃぁっ!」



ドキッ──と心臓を高鳴らせていると、いきなり横から腰を掴まれた。



「ふざけたことをいうなっ!!!!!」



ものすごい怒鳴り声が背後から聞こえて身体を膠着させる。



「フッ……社長もそう思いませんか?」



「っ……!思わんっ!!まっったく思わんっ!!!!!
むしろ五文字より六文字の方がすわりがいいっ!!!」



後ろを振り返ると光瑠さんが物凄い剣幕で要さんをにらんでいた。


ククククっと笑う要さんを見て光瑠さんは何が面白いっ!と再び怒鳴った。



「今後一切真希に近付くなっ!」



そう言葉を付け加えると、笑っていた要さんが顔を上げた。



「───何故ですか?」



ニヤリといたずらっぽい笑みを要さんは返す。



「っ…!」



「僕は真希さんを諦めたなんて一言も言ってませんよ……?」



えっ…


驚いて要さんを見ると要さんも私を見つめていた。



「お前っ…!さっきまで信頼を裏切ったとか言ってただろうがっ!!」



「ですから今度は、ちゃんと社長に宣戦布告します。」


ニコリと輝かしいほどの笑みを要さんは見せた。


「っ!!!!ぜっ、前言撤回だっ!関根!お前はクビだっ!!」



あまりに大きな声で光瑠さんが叫ぶので私は耳を塞いだ。



「社長……」



脇を見ると呆れた様子で酒田さんが光瑠さんを見ている。


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