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近くて遠い
第7章 接客
───調子に乗っているからいけないのよ



夕夏さんの声が頭でこだまする。


あのあと、有川様に乱暴にファーストキスを奪われ、出ていけと言われて……



肩から血を出し泣いていたのを拓也さんに発見され、何も言わずに黙っていたにも関わらず、夕夏さんのことを幸ママに悟られてしまった。

そして今日は休むように言われたのだ。


幸ママは夕夏と話すと言ってくれたあと、


『有川様も私が対応するから安心して』


と笑顔で私にいった。



対応せずとももうきっと指名はされないのに…


そう思うと何故か胸がチクリと痛んだ。



「お姉ちゃん……?」



「あ、うん。ごめん。そう、会えたの、だから返したの。」




隼人の声に我に返って言葉を返した。


会えただなんて…


バカらしい…



「よかったねぇ!!」



屈託なく笑う隼人の笑顔が眩しすぎて、胸が締め付けられる。



そう、この笑顔があれば…それでいいの…



「うん、良かった。」



私は自分に言い聞かせるように言って、もくもくとご飯を口に運んだ。
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