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近くて遠い
第8章 助けと契約
「んあっ…はぁ、はぁ、はぁ……」



ようやく唇を解放され私は、涙を流しながら乱れた息を整える。



もう訳分かんないよ…



出てけって言ったのは、有川様なのに…


肩で息をしながら有川様を見上げた。





「っ……、そうやってあいつらを誘惑したのかっ!」


「はぁ…⁉︎」



「ったく、腹が立って仕方がない!!!」



訳の分からぬ怒りは冷める様子もなく、再び私の唇を塞ぎ、今度は舌を絡めてくる。



「ふぁん……んん…ん…」


どうして…


何にそんなに怒っているの…?



分からない…


あぁ


何も分からないまま、ただひたすら波にのまれていく…



頭が痺れて、


それが心地いいと感じてしまう…



おかしい…


そうだ、


きっとお酒を飲み過ぎたんだ…



「はあ……」



キスの合間に有川様が漏らす吐息に、異常なほど胸が高鳴る。



「ん……はぁ…んん…あ…」



そして自分から出る声に、驚き、恥ずかしくなった。




「お前は俺の…」





唇を軽く放しながら囁かれる言葉…





「お前は…





お前は俺のものだ…」




ドキドキと高鳴る心臓を抑えることができない…



「誰にも触らせない…」


「はぁっ…」




有川様の熱い手が首元を這う…


気持ちいい……



原田に同じようにされたときは、不快にしか感じなかったのに……



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