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不良の彼は 甘くて強引
第12章 浴衣祭り
一通り出店を見て回った二人は隅のベンチに腰掛けた。
柚子の持っているものが綿飴からかき氷に変わっている。
「…あ!!」
パンパンという音とともに、祭りの目玉、花火の打ち上げが始まった。
「花火…!」
「ああ…」
それは派手とは到底言い難い規模のもので、有名な花火大会のような変わった形もありはしない。
それでも柚子は、空に控えめに広がる鮮やかな色彩と花火独特の打ち上げ音にうっとりした顔で、夏の風物詩を満喫している。
一方の匠は
リチウム、銅、カリウム、バリウム、ナトリウム...
化学の炎色反応ばかりが頭に浮かぶ…。
ふと、横に座って空を見上げる柚子の横顔に目を落とすと
すっかり見入っている様子で首が直角に曲がってしまっていた。
「──…」
匠は吸い寄せられるように、彼女の首筋に唇を落とした。
「きゃ!?」
驚いて離れようとする肩を引き寄せる。
「…ちょっ…匠、さん…!?」
首筋にキスした唇から舌が伸ばされそのまま舐めまわし始めた。
「浴衣はそそるな…、襲ってくれと言っているようなものだ…」
ここで残らず脱がしてやりたい
彼のS心に火がつきそうだった。
「…ん…ハァ…ぁッ…」
「ふ…この反応、ハムスターなんかじゃないな…!!」
「ハム、…スター…?…ひゃ…//あッ…ん」
首を伝って上がった唇は、柚子の赤く染まった耳を甘噛みする。
花火どころではなくなってしまった彼女の頭上では、終盤に差し掛かったそれが次々と色とりどりの花を咲かせていた。
それのお陰で周りの人間は皆一様に空に意識を奪われ
匠の責めに震えている彼女に気づいた者はいなかったかもしれない──