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不良の彼は 甘くて強引
第17章 深海の魔物
込み上げてくる快感を
大切な人の前で解放させ──
彼にとっては無数に経験してきたことかもしれないけれど
わたしにとっては
味わったことの無い感覚。
「はぁ…っ」
ザザ―……
…夏の夜は長くはない。
──…波音の代わりに聞こえてくるのは、重なり合う男女の甘い吐息。
──…潮の代わりに、淫らな蜜の香りが辺り一面に漂う。
冷たい筈の海風も
身奥から沸き立つ熱を冷ますことはできない。
もし本当に、ここが海底…
彼が、光さえとどかない深海にわたしを連れ去ってくれるなら
朝など来ないのに……。
―――…
それは大学1年の夏の出来事。
わたしはあの夜、初めて女の悦びを知りました。
あの日の事は…今でも鮮明に覚えてる。
たぶんこれからも…
ずっと忘れません。
あなたはもう
忘れたのかな?
聞いてみたい気持ちもあるけど…、会えないことにはそれも無理だね。
忘れてるかなぁ
…もしそうなら
すごく、寂しいけど……。