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不良の彼は 甘くて強引
第21章 弱者は弱いか

「…」
パソコン画面を見たまま固まってしまった柚子。
しばらくの沈黙が続き──
それを破るかたちで、翔がパソコンをパタリと閉じた。
「…市ノ瀬は、この時はまだ中学生だ」
「・・・」
「彼の心中を察するに…」
翔に一瞬のためらいが見られた。
閉じられたパソコンをじっと見つめ続ける柚子の様子を気遣う。
「…柚子ちゃん?」
「…こんなの、酷い…」
柚子は翔の方は見ないままにぼそりと呟いた。
「この人は…今までに多くの命を救ったきた筈なのに……! たった一度のミスでこんな風に言われるなんて…」
だが、我が子を失った親たちのことを思えば
その "一度" こそが何よりも許せないミスなのだ。
そんなことは
わかっているけれど……!

