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不良の彼は 甘くて強引
第21章 弱者は弱いか




「なら、匠さんが憎んでいるのは…──」






翔はコクリと頷き答える。




「" 低い立場 "に甘んじる者。

強者を排除しようとする世論や風潮…。

それに耐えきれず、自らの死を選ぶ弱い心。

それがありふれた日常となってしまった世の中…」






それらは、つまり……

匠さんにとっての





「──…父親の仇」





「…市ノ瀬医師を訴えた両親がそうであったかはわからない。…だが、まだ中学生だった彼の目には、この結末がどう映っただろうか…」




一度の失敗を責められて
自殺まで追い込まれた父親


彼はその時
世間をどんな思いで眺めたのだろうか。









《 俺に"正論"を語るな…! 》






「…!」




気付いた時には

彼女の目尻からひとしずくの涙が頬を伝い



膝の上で強く握り締めた手の甲にポトリと音を立てて零れ落ちていた───。













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