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不良の彼は 甘くて強引
第27章 柚子の過去
ただ
このまま彼を好きで居続けることは…
彼のやってきたことを認めることになりはしないだろうか。
彼に犯された女性たちを
二重に踏みにじることにならないだろうか?
彼の全てを知ったうえで…
市ノ瀬匠という男性を
わたしは…受け入れてもいいの?
『 …こんな言葉がある
《罪を憎んで人を憎まず》というものだ 』
人を裁くのは辛くないの?
夏の別れ際、そう尋ねた柚子に父親が言った言葉。
彼女の心に浮かんでは消え…、消えては現れる。
そんな……
「そんな器用なこと…わたしにはできないよ…!!」
しゃがみこんだままの柚子は
伸ばしていた手を引っ込めるとスカートに顔をうずめる。
彼女の脚にすり寄ってきた黒猫が、顔を上げない彼女を慰めるかのように…一段と高い声で小さく鳴いていた───。