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不良の彼は 甘くて強引
第32章 湧き立つ想い
「──…!?」
翔を睨む匠の目が…
動揺して揺らぐ。
「…前者なら、早く彼女に会ってこい──」
「…無理だ」
「あの子の想いを聞いてこい……!」
「……っ」
翔の気迫は、匠に逃げ道を与えない。
翔の服を掴む手も、もはやなんの凄みも見せずに意味もなくぶら下がっていた。
「……ッ!」
怒りを感じるかだと?
そんな感情…俺に許されたものではない。
無理やり奪ったのが俺なら
一方的に突き放したのもまた俺だ。
あいつから逃げた今、できることはただその身を祈るだけ…
遠い異国の地で離れ離れに時が過ぎれば…
あいつはいずれ、俺のことを忘れられるだろう…
そうすれば──
柚子は俺から解放される。
そうして俺は
柚子を想ってこの一生を送り続けることになる。
それが、俺に赦された
罰の形…。