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不良の彼は 甘くて強引
第32章 湧き立つ想い

シャワーの音が止まったバスルームの中。
かわりに、滴る水音が彼女の耳に静かに響いた。
濡れた黒髪を無造作に手で束ね
ぎゅっと水気を絞る。
「……ハァ」
シャワーの蒸気で曇ったバスタブの中に立った彼女の、その唇から溜め息が小さく零れていた。
──柚子が翔とともに京都を訪れた日から、まるまる三日が経とうとしていた
匠のこともさることながら、大学から出された課題がまだたくさんある…。
親のお陰で大学まで通わせてもらっているのだ、勉学を疎かにするわけにはいかない。
…この状況で
溜め息が出るのも仕方がないのか──

