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不良の彼は 甘くて強引
第33章 甘くて、強引

振り向いていた頭を戻し

顔の前で手を握り合わせて縮こまる柚子。



なんて所を触ってしまったのわたしは…!

すごく、大変なことをしてしまった……。



──男性器に触れることは、柚子にはとても失礼な行為に思えたのだ。




「……ふっ、あまり驚かすな…!」


自分から触っておいて、この反応──

匠は小馬鹿にして笑う。


「ごめんなさい…っ」

「…別に、触っても俺は構わないがな…」





「…!」





柚子は不意に、あの日のことを思い出す。




中学生の自分が、レイプされた時──

男たちは彼女に、男性器を口に含むことを強要したのだった。

男はこれが好きなんだと
そう言っていた。




「……っ」


思えばわたしは、匠さんの愛撫を受けるばかりで、何も…

彼にしたことがない。




あの時の、あの行為は

柚子にとっては屈辱と嫌悪の象徴だった。




でも…

匠さんは、あれをして欲しいと思っているのだろうか。

それなら──


あなたがそれを望むなら、わたしはしなければいけない。

でなければ
そっちの方が失礼だ。


やっぱり少し

怖いけれど…




「……ッ」


「…どうした…?」


柚子の様子がおかしいことに気付いた匠は、その顔を覗き込んだ。




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