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不良の彼は 甘くて強引
第34章 もう一度…
「……!!」
「別の大学に転入する」
「…っ…なんで…!?」
「……」
「…どうしてですか」
「──…これは既に決まったことだ」
匠の、あまりにも唐突な告白。
柚子は震える声をなんとかコントロールしようとした。
「……どうしてっ」
途端に涙が溢れる
「嫌です…!!」
動揺した彼女はもがき始めたが、匠は逆に引き寄せる腕に力を込めた。
匠の顔を見ようとしても、彼の手が柚子の頭を胸板に押し付けて離さない──
「…そんなの嫌…っ…」
「──…」
「約束が…ッ…違う…」
そんなの、嫌だ…!
匠さんがいなくなるなんてそんなの。
「わたしを離さないって…」
「──…」
「…そう…っ…言ってくれたじゃないですか…!!」
「…そうだな…」
「…ッ…あ…れは…っ…嘘だったの…!?」
彼女の声に嗚咽が混じり出すと、頬をつたう雫が匠の胸を濡らす。
「わたしを捨てないで…!!」
柚子は匠の背に手を回した。